消化器・肝・膵臓内科専門医研修コースプログラム 

 

A.   診療科()の概要

1.    特色

疾患の種類,絶対数ともに多い消化器疾患全般(食道,胃,小腸,大腸,肝臓,膵臓,胆嚢,胆道系の各疾患)に対して消化器内科,肝・膵臓内科が協力して最先端の診療を行っている.また,多くの関連病院と多数の専門医がそろい充実した研修が可能である.

 

2.    指導体制

1)       部長                         城 卓志(助教授)

2)       副部長                      折戸悦朗(講師)

3)       副部長                      大原弘隆(講師)

4)       責任指導医               中尾春壽(学内講師)

5)       スタッフ     神谷 武(学内講師),片岡洋望(助手),佐野 仁(助手),佐々木誠人(助手),祖父江聡(助手),菅内文中(助手), 野尻俊輔,谷田諭史,伊藤恵介,兼松孝好,岡本 哲,大島忠之,小笠原尚高,林 香月,和田恒哉,山田智則,久保田英嗣,高田博樹,森 義徳,喜多島康弘,藤田岳史,志村貴也,千田勝博,日下部篤宣,坂本知行,新海 登,伊藤清顕,平子 真,安達 啓,松久映理子,鹿野美千子.

 

3.    学会認定施設・標榜施設

1)       日本消化器病学会

指導施設: 名古屋市立大学病院,愛知医科大学,名古屋市立東市民病院,名古屋城西病院,名古屋市立緑市民病院,NTT西日本東海病院,厚生連尾西病院,厚生連知多厚生病院,春日井市民病院,県立多治見病院,磐田市立総合病院,愛知ガンセンター,名古屋第二赤十字病院,名古屋市立城北病院,名古屋記念病院,社会保険中京病院.

指導関連施設: 旭労災病院,員弁総合病院,高浜市民病院,尾西市民病院,公立尾陽病院,尾西市民病院,厚生連足助病院,名古屋市厚生院,豊川市民病院,多治見市民病院.

2)       日本消化器内視鏡学会

指導施設: 名古屋市立大学病院,名古屋市立東市民病院,名古屋市立緑市民病院, NTT西日本東海病院,中日病院,春日井市民病院,旭労災病院,厚生連尾西病院,県立多治見病院,磐田総合病院,名古屋第二赤十字病院,社会保険中京病院.

3)       日本肝臓病学会

指導施設:名古屋市立大学病院,増子記念病院,名古屋第二赤十字病院,社会保険中京病院,名古屋市立東市民病院,NTT西日本東海病院,春日井市民病院,厚生連知多厚生病院.

 

4.    現在行っている新しい治療法

1)       クローン病,潰瘍性大腸炎に対するG-CAP療法,

  早期胃癌に対するIT−ナイフ,フレックスナイフなどによるESD(内視鏡的粘膜剥離術),

2)        消化管癌の化学療法(免疫療法との併用療法の医師主導型臨床研究)

3)       癌性狭窄に対する消化管ステント留置術など

 

4)       体外衝撃波膵石破砕療法(ESWL),膵管ステンティング,超音波内視鏡的膵嚢胞ドレナージ術など

5)       厚生労働省特定疾患対策研究事業の難治性膵疾患に関する調査研究班の班員として、膵炎の診断と治療について基礎的、臨床的な研究を行っている.

6)       基礎的には膵線維化の抑制を目指した研究を行っている.また,膵胆道癌に対する診断と集学的治療にも力を注いでいる。

 

7)       肝細胞癌に対する経皮経肝マイクロ波凝固療法,ラジオ波凝固療法など.

8)        ウイルス性慢性肝炎の治療の標準化に関する研究班(厚労省班会議メンバー)に所属し、C型慢性肝炎に対する新しいインターフェロン治療法の研究や、B型慢性肝炎に対する新しい抗ウイルス剤の治験などを行っている.

9)       C型肝炎に対する新しいペグインターフェロン治療では、従来難治性といわれた症例に対しても約50%の治癒が得られている。B型肝炎に対してのエンテカビル治療では、約70%の症例にウイルスの強い抑制と肝機能正常化が得られている。

5.    検査件数

1)       平成16年

上部消化管内視鏡検査               3178件

下部消化管内視鏡検査               1381件

ERCP                                        147件

ERBD+EST                                116件

 

6.    研究会、サークル

1)       東海早期胃癌研究会,PPIフォーラム東海,GERD研究会,

2)       名古屋消化器病態研究会,消化器シンポジウム名古屋,IBD治療研究会,

3)       東海GIフロンティアサミット,名古屋胃癌検討会,名古屋消化器病研究討論会,

4)       肝胆膵治療研究会,胆道疾患研究会,

5)       名古屋肝疾患研究会,東海肝移植研究会,中部肝病態研究会,

6)       中部肝病態セミナー,

7)       名古屋肝疾患研究会,名古屋肝炎セミナー,東海リバーフォーラム,

8)       東海リバーシンポ

 

B.   研修目標

1.    コース名: 名古屋市立大学病院消化管専門医研修コース

GIO: 消化器専門医となるために、消化管疾患の診断・治療を身に着けると同時に常に学問的見地から医療に取り組む姿勢を習得する。

1)       ユニット1:消化管専門医研修コース

 ユニットのGIO:消化器専門医となるために、消化管疾患の診断・治療を身に着けると同時に常に学問的見地から医療に取り組む姿勢を習得する。

SBO 1:      消化管疾患の病態生理,症候,治療方法が説明できるようになる.

SBO 2:      患者に対して病状の説明および治療方針の説明ができるようになる.

SBO 3:      胃透視,注腸検査ならびに読影(診断)ができるようになる.

SBO 4:      上部・下部内視鏡検査が行えるようになる.

SBO 5:      イレウス管が挿入できるようになる.

SBO 6:      内視鏡的大腸ポリペクトミー(切除術)ができるようになる.

SBO 7:      吐血・下血に対する緊急処置ができるようになる.

SBO 8:      食道癌,胃癌,大腸癌にたいする化学療法(1st line)ができるようになる.

 

2.    コース名:名古屋市立大学病院膵胆道系専門医研修コース

GIO: 消化器専門医となるために、膵胆道系の主な疾患の病態を理解し、それらの診断と治療に必要な基本的な知識と技術を習得する。

1)       ユニット1: 膵胆道系疾患の基本的知識   

ユニットのGIO: 膵胆道系疾患の疾患概念を理解するための基本的知識を修得する。

SBO 1:      膵臓、胆道の解剖学的構造と生理機能について説明できる。

SBO 2:      膵胆道系の主な疾患の特徴について説明できる。

SBO 3:      膵胆道系疾患に関連する各種検査の意義について説明できる。

 

2)       ユニット2: 膵胆道系疾患の臨床診断と画像診断

ユニットのGIO: 膵胆道系疾患の診断に必要な知識と基本的な技術を習得する。

SBO 1:      膵胆道系疾患の診断に重要な病歴を聴取できる。 

SBO 2:      膵胆道系疾患に特徴的な理学的所見を判断できる。

SBO 3:      主な膵胆道系疾患に特徴的な血液生化学検査を判断できる。

SBO 4:      腹部超音波検査、CT, MR検査にて、膵胆道の解剖を同定できる。

SBO 5:      腹部超音波検査、CT, MR検査にて、主な膵胆道系疾患におけるそれぞれの特徴的所見を診断できる。

SBO 6:      内視鏡的逆行性膵胆管造影を施行できるようになる。

SBO 7:      内視鏡的超音波検査により膵胆道を描出することができる。

 

3)       ユニット3: 基本となる治療法

ユニットのGIO: 主な膵胆道系疾患に対する基本的な治療法を理解し、その技術を習得する。 

SBO 1:      閉塞性黄疸に対する各種ドレナージ術、その適応と偶発症が理解できる。

SBO 2:      閉塞性黄疸において、各症例に適したドレナージ術を選択することができる。

SBO 3:      経皮的胆嚢ドレナージ術が施行できる。

SBO 4:      急性膵炎の重症度を判定し、治療方針を決定することができる。

SBO 5:      慢性膵炎に対する食事療法を含む治療を理解できる。

SBO 6:      膵胆道癌に対する化学療法(1st line)ができるようになる。

 

3.    コース名: 名古屋市立大学病院肝臓病学専門医研修コース

GIO: 消化器内科専門医および肝臓専門医としての肝疾患の病態を深く理解し、代表的な各種肝疾患に対する病因、診断、治療の基本的知識、技術を修得する

1)       ユニット1: 肝疾患の基本的知識

ユニットのGIO: 肝疾患の疾患概念を理解するための基本的知識を修得する。

SBO 1:      肝臓の解剖学的構造と生理機能について説明できる。

SBO 2:      肝疾患の種類と特徴について説明できる。

SBO 3:      肝疾患に関連する検査の意義について説明できる。

SBO 4:      代表的な肝疾患の病理像について説明できる。

2)       ユニット2: 肝疾患の臨床診断と画像診断

ユニットのGIO: 肝臓病学の診療において的確な診断ができるようになるための基本的な病歴聴取や理学診断および画像診断の特徴を習得する。

SBO 1:      肝疾患の診断に重要な病歴を取ることができる。

SBO 2:      肝疾患に特徴的な理学的所見を視診および触診で判断できる。

SBO 3:      各種肝疾患に特徴的な血液生化学検査、凝固系検査などの一般採血検査所見を判         断できる。

SBO 4:      肝炎ウイルスマーカー、腫瘍マーカー、自己抗体などの肝疾患に特異的な採血検査結果の判断ができる。

SBO 5:      腹部超音波検査にて、肝臓の解剖(区域、脈管など)を同定できる。

SBO 6:      腹部超音波検査にて、各種肝疾患の特徴的所見を診断できる。

SBO 7:      腹部CT, MR検査で、各種肝疾患の特徴的所見を診断できる。

SBO 8:      腹部血管造影検査にて脈管解剖を同定できる。

SBO 9:      腹部血管造影検査にて病変の特徴が把握できる。

SBO 10:  肝疾患における特異的な画像診断検査の判定ができる.

3)       ユニット3: 基本となる治療法

ユニットのGIO: 各種肝臓病に対する基本的な治療法を習得する。

SBO 1:      急性肝炎、劇症肝炎の治療法が理解できる。

SBO 2:      ウイルス性慢性肝炎に対する抗ウイルス治療の適応と治療法について理解できる。

SBO 3:      肝硬変症に対する治療法が理解できる。

SBO 4:      胃・食道静脈瘤に対する治療法が理解できる。

SBO 5:      肝腫瘍に対する治療法の適応と治療手技が理解できる。

SBO 6:      肝移植についての知識と理解が得られる。

SBO 7:      特殊な肝疾患に対する治療法が理解できる.

 

4.    取得できる資格

1)       日本内科学会                           認定内科医,内科専門医

2)       日本消化器病学会                    専門医,指導医

3)       日本消化器内視鏡学会             専門医,指導医

4)       日本肝臓病学会                        専門医

 

C.   研修プログラム

1.    年次計画表 1:臨床研修で,認定内科医取得に必要な症例を経験済みで,内科ローテートを希望しない研修医.

卒後

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3

3年次

市大病院

消化管研修

市大病院

胆膵臓研修

市大病院

肝臓研修

4年次

市大病院 消化器・肝・膵臓内科研修

 

5年次

関連病院 消化器・肝・膵臓内科研修

 

 

2.    年次計画表 2:臨床研修で,認定内科医取得のための症例経験が不足しており,内科ローテートを希望する研修医.

卒後

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3

3年次

市大病院  内科希望科研修

消化器・肝・膵臓内科研修            

4年次

市大病院 消化器・肝・膵臓内科研修

 

5年次

関連病院 消化器・肝・膵臓内科研修

 

 

3.    研修場所

1)       名古屋市立東市民病院,名古屋市立緑市民病院,名古屋市立城西病院,NTT西日本東海病院,名古屋逓信病院,岐阜県立多治見病院,春日井市民病院,愛知医科大学,磐田市立総合病院,旭労災病院,厚生連知多厚生病院, 厚生連尾西病院,厚生連足助病院,員弁総合病院,高浜市立病院,尾西市民病院,公立尾陽病院,名古屋第二赤十字病院,社会保険中京病院,名古屋市立城北病院

2)       名古屋市立守山市民病院,豊川市民病院,名古屋記念病院,愛知がんセンター,遠州総合病院,菰野厚生病院, 公立尾陽病院,上矢作病院など

 

4.    週間スケジュール

 

午前

外来当番

内視鏡検査

エコー検査

XP

注腸検査

肝生検

肝局注療法

午後

部長回診

膵胆道内視鏡

検査・処置

 

 

 

 

 

 

Aユニット

症例検討会

連絡会

医局連絡会

合同医局会

 

胃,大腸

XP読影会

 

5.    院外研修

クリニック等における腹部エコー,上部消化管内視鏡検査等.

 

6.    学会活動

1)       3年間で消化器病学会,消化器内視鏡学会等の総会,地方会,研究会での発表5回以上

2)       3年間で論文(できれば英文論文)発表2編以上

 

7.    研修評価の方法、修了認定

指導医による観察記録,推薦書.

 

D.   大学院との関係

部長,副部長,指導医と相談の上,随時入学可.

 

E.   研修修了後の進路

1.    大学病院でチーフレジデントまたは臨床研究医

2.    関連病院へ赴任

3.    大学院

4.    国内,海外留学

以上