平成21年度名古屋市立大学病院臨床研修プログラムの概要

I. プログラムの構成 1

大学病院での2年研修(協力型研修病院での部分的なローテート研修を含む)を基盤とする大学病院基盤研修プログラムと,協力型研修病院とのたすきがけ研修による連携研修プログラムがあります。

1.      大学病院基盤研修プログラム

大学病院研修を基盤に,個人の将来ビジョンに合わせて一般病院の希望する診療科の短期ローテート研修(GHT3GHT2それぞれ3か月,4)を柔軟に組み入れることのできる研修プログラムです。基本診療能力とともに,研究,指導,管理能力などの専門職としての医師に求められる能力をバランス良く研修します。

2. 一般病院との連携研修プログラム

大学病院と一般病院の各々のメリットを生かし,それぞれ1年間ずつ研修します。連携する一般病院のタイプと,一般病院研修を1年目とするか2年目とするかによって,4種類のプログラムがあります。

1)     中規模病院連携研修プログラム

最近,研修医からの評価が高い中規模の一般病院との連携研修プログラムです。診療科間の垣根が低い中規模病院のメリットを活かして,一般疾患に対する総合的な診療能力を中心に,指導医や他のスタッフとの人間的なふれ合いを通して中身の濃い研修が可能です。

2)     大型病院連携研修プログラム

臨床研修で高い実績のある規模の比較的大きな一般病院との連携研修プログラムです。救急をはじめとする豊富な症例数と指導体制により,全ての診療分野を広く経験できるとともに,各病院の特色ある専門分野を選択研修することが可能です。

3. 大学病院・市立医療センター連携研修プログラム

名古屋市立大学病院と東部および西部医療センター,緑市民病院をシームレスに一体化した計2000床余の病床からなる急性期医療コンプレックスの中で、各構成機関の得意とする研修領域を自由に組み合わせて研修することが可能なプログラムです。

平成204月に,名古屋市は市立病院の抜本的改革を行うために「病局」を設置し,5つの市立病院を2つのグループ(東部医療センター,西部医療センター)1病院(緑市民病院)に統合しました。これにより,両センターと病院,そして名古屋市立大学病院を含む,大きな医療コンプレックスの中での,人材の弾力的な配置と活用,スムーズな連携診療が可能となりました。また,東部医療医センターには「心疾患センター」と「脳血管センター」,西部医療センターには「周産期母子医療センター」が置かれ,専門診療における有機的な機能分担を実現しています。

この連携研修プログラムでは,管理型病院となる名古屋市立大学病院で8か月以上研修することが必要ですが、残りの期間は当医療コンプレックスのメリットを最大限活用して,希望する医療センター,病院の診療科を選んで研修することができます。

1 プログラムの種類

プログラム名

1年目

2年目

(H20マッチ/定員)

大学病院基盤研修

Program 1

大学病院*

大学病院*

20

中規模病院連携研修A

Program 2

大学病院

協力型病院

(中規模病院群)

4

中規模病院連携研修B

Program 3

協力型病院

(中規模病院群)

大学病院*

10

大型病院連携研修A

Program 4

大学病院

協力型病院

(大型病院群)

5

大型病院連携研修B

Program 5

協力型病院

(大型病院群)

大学病院*

17

大学病院・市立医療センター連携研修

Program 6

大学病院*または名古屋市立東部・西部医療センター

6

* 協力型病院での短期研修を含む。だたし,どのプログラムも2年間に最低8か月は大学病院で研修。

II. 各プログラムの研修科目 2

1. 大学病院基盤研修プログラム Program 1

1年次の9か月間は内科,外科,麻酔・救急を研修,残りの3か月間は一般病院短期研修(GHT3)を含む選択科目を研修します。2年次は大学病院で,1年次の内科研修が6か月未満の場合は合計が6か月以上になるように研修し,外科,麻酔・救急,精神科,産婦人科,地域・保健医療から1年次に研修していない科目を研修します。残りの期間は希望する選択科目を研修します。2年次の大学病院研修中には協力型研修病院(GHT2)での短期研修も3か月まで可能です。

2. 連携研修プログラムA  (Programs 2 and 4)

1年次は大学病院で10か月間,内科,外科,麻酔・救急,小児科を研修,残りの2か月間は連携する協力型研修病院ごとに指定する科目を研修します。2年次は協力型研修病院で,1年次の内科研修が6か月未満の場合は合計が6か月以上になるように研修し,外科,麻酔・救急,精神科,産婦人科,地域・保健医療から1年次に研修していない科目を研修します。残りの期間は希望する選択科目を研修します。

3. 連携研修プログラムB  (Programs 3 and 5)

1年次は協力型研修病院で6か月間,内科,外科を研修,残りの6か月間は協力型研修病院ごとに指定する科目を研修します。指定科目が無い残りの期間は選択科目を研修します。2年次は大学病院で1年次の内科研修が6か月未満の場合は合計が6か月以上になるように研修し,外科,麻酔・救急,精神科,産婦人科,地域・保健医療から1年次に研修していない科目を研修します。残りの期間は希望する選択科目を研修します。2年次の大学病院研修中には協力型研修病院(GHT2)での短期研修も3か月まで可能です。

4. 大学病院・市立医療センター連携研修プログラム Program 6

2年間の研修の内,8か月以上を大学病院で研修し,残りの期間は大学病院または名古屋市立医療センターの希望する病院の診療科で研修します。研修科目は,1年次の9か月間は基本研修科目(内科,外科,麻酔・救急)を,残りの3か月間は基本研修科目または必修科目(産婦人科,小児科,精神科)から選択した科目を研修します。2年次は,1年次の内科研修が6か月未満の場合は合計が6か月以上になるように研修し,外科,麻酔・救急,精神科,産婦人科,地域・保健医療から1年次に研修していない科目を研修します。残りの期間は希望する選択科目を研修します。市立病院以外の協力型研修病院(GHT2)での短期研修も可能です。

 

III. 各プログラムの協力型研修病院とその定員 34

1)     連携研修プログラム (Programs 2-5)の各協力型研修病院の定員は表3の通りです。

研修を行う病院はマッチング後に,プログラム毎のマッチ者の希望に添って決定します。希望者が協力型研修病院の定員を越えるときは,採用試験の成績を考慮して調整します。

2)     一般病院短期研修(選択)を行う協力型研修病院は表4の通りです。

3)     名古屋市立大学病院と名古屋市立医療センターの間のシームレス研修システム: いずれのプログラムも2年間の研修期間の内8か月以上を名古屋市立大学病院で研修するという条件が満たされる限り,大学病院で研修が可能な期間の科目またはその一部は名古屋市立医療センターのどの病院で研修することも可能です。

 

IV. コア診療研修 (内科系総合診療研修)

1)     名古屋市立大学病院では,H19年度から内科疾患を中心とする総合診療研修をはじめました。1年次に4-6か月間の研修を行い,2年次には選択科目として研修できます。

2)    コア診療グループは,研修専任指導医と研修医1-2名からなるチームで構成され,5-6チームが診療にあたります。同一チームの指導医と研修医は同一の勤務スケジュールで活動するために,研修医にとっては指導医や上級医が常に近くにいて相談することができ,密度が高く効率的な研修ができます。

3)    毎日,朝晩のモーニングレポートとイブニングレポート,およびチーム回診を行います。そこでプレゼンテーションの能力が身につきます。また,毎週水曜日にはコア診療グループ全員が顔を合わせ,症例カンファレンスを行う他,様々な企画を行います。

4)    コア診療グループの診療内容は,総合診療病棟の入院診療,時間外,夜間,休日を中心とする外来診療です。研修医は救急外来等における初診の診察から,入院診療,退院後の外来まで1連の診療を担当することができます。

5)    この研修では,実践的な診療能力の習得だけでなく,指導医との人格的な交流の中で,プロフェッショナルとしての医師の考え方,人生感,将来ビジョンなどを身につける機会になります。

 

電子カルテによるモーニングカンファレンス

チーム回診

 

V. 研修評価

以下の特徴を備えたポートフォリオによる研修評価を行います。

1) 研修修了要件の達成状況が分かりやすい

2) 臨床技能についてのライセンス制度の活用

3) 指導医評価,自己評価,他の医療スタッフによる評価などの多元的評価

 

VI. 処遇の改善

平成21年度から新たに以下の手当が加わりました (大学病院研修中)

1) 夜間・休日等診療手当の支給 

(コア診療研修中は2交替制のため7/月,その他4/月程度)

2) 研修医用宿舎の支給(自己負担金2万円程度の予定です) New

3) 大学病院研修中の医師賠償責任保険料の支給 40,000/