施設主催講演会

東北大学医学部付属動物実験施設 教授、笠井憲雪 先生

〔講演要旨〕自然発症モデル動物においてヒト遺伝性疾患の原因との相同性遺伝子が多数同定されてきた。そして近年の発生工学の急速な進展により、トランスジェニック動物やノックアウトマウスの、ヒト遺伝性疾患のモデル動物が多数作られてきナこ。この結果、現在では原因遺伝子が明確でヒト遺伝疾患と相同なモデル勤物が多数存在する。その浩果、遺伝病の病因解析、治療研究が急速に進むであろう。そして、これらの動物モデルは、特に今後進展するであろう遺伝子治療のモデルとして大いに利用されるだろう。
 しかし問題点もある。その一つはヒトとモデルの間で遺伝子が同じでも臨床症状に多くの相違が見られることである。この原因としては、動物種の相違によるフェノタイプの相違が当然考えられるが、さらに原因遺伝子が同じでも遺伝子上の変異の違いによりフェノタイプの相違が生ずる可能性が認められた。
 本講演では、これら遺伝的相同性のあるモデル動物を紹介し、ヒト疾患との相違点を論ずる。